クロスバイクのすゝめ


  「クロスバイク」という自転車をご存知ですか。ロードバイクとマウンテンバイクのいいとこ取りをしたような自転車です。スピードはそこそこ出るし、多少荒れた路面でも走行可能です。いわゆるママチャリとは違い、非常に軽量でもあります。

1  発端
    司法試験を控えた法科大学院時代、私は勉強ばかりの生活を送っており、慢性的な運動不足に悩まされていました。そんなある日、急に危機感に襲われ、健康を維持するためにも何か運動をしなければと考えるようになりました。そこで目をつけたのがクロスバイクでした。
  当時は実家からキャンパスまで、阪急電車と京阪電鉄を乗り継いで通学していました。これを一念発起して、クロスバイクでの自転車通学に切り替えることにしたのです。こうすれば毎月の通学定期代が浮くので非常に経済的です。片道15km程度の距離がありましたので、往復すればけっこうな運動にもなります。

2  購入
  早速、インターネットでクロスバイクの情報を集めました。お金があまりありませんでしたので、クロスバイクとしての最低限の性能を備えつつ(外見だけがクロスバイクで性能が伴わない自転車もあります)、可能な限り安価なクロスバイクを探しました。
  その結果、台湾の「Giant」というメーカーのクロスバイクを購入することにしました。業界最大手のメーカーで、スケールメリットにより他社とは比べ物にならないほどの安価を実現しています。それでも5万円弱の出費となってしまい、当時は「自転車に5万円も出すのか」と震える思いをしました。

3  走行開始
早速、翌日から自転車通学を開始しました。結果としては大成功でした。
⑴  経済的
    通学定期代が浮きました。燃料は自分の体力のみで、ガソリン代も必要ありません。
たまにパンクして1000円程度の出費が必要になりますが、基本的に維持費はほとんどかかりません。
⑵  移動時間の減少
    キャンパスまで50分程度で到着できました。電車を利用した場合でも、実際には徒歩での移動時間がかなり必要でしたので、トータルでの移動時間はむしろ減少しました。通勤ラッシュからも解放されました。
⑶  健康促進
    体重と体脂肪率が減っていきました。それまで着実に肥満化が進行していたのですが、運動不足の解消に伴いこれがなくなりました。体力も増えたので、それまでより集中できる時間が長くなりました。
⑷  環境保護
    排気ガスを出さないので、環境保護に役立ちます。石油資源も消費しません。
⑸  楽しい
    走行中に景色を見るのが楽しいです。小回りがきくので、ふと気が向いたときにちょっとした寄り道をすることも簡単です。また、かなりの運動になりますので、走行後には大きな爽快感があります。

  このようにいいことだらけでした。以来、すっかりクロスバイクにハマっています。
  弁護士となった今でも、クロスバイクは役立っています。特に警察署へ接見に行く際に重宝しており、西京警察署、伏見警察署など、公共交通機関では通いづらい警察署でも、クロスバイクがあれば簡単に行くことができます。

4  問題点
ただし、安全面ではまだまだ問題があります。
⑴  車道走行時の事故
  法律上、自転車は軽車両とされており、原則として車道を走行しなければなりません。しかし、駐車車両があると車道の端を走行することができなくなり、走行中の車両との接触の危険性が増大します。停車中のバスがある場合なども同様です。
  自転車はとても非力なので、交通事故に遭うと深刻な被害が生じる可能性が高いです。走行中は、周囲の交通状況に細心の注意を払う必要があります。
⑵  交通事故の加害者になる危険性
  クロスバイクは非常にスピードが出ますので、歩行者などに衝突するととても危険です。歩行者優先を心がけ、交通事故が生じないように注意しなければなりません。
  充実した被害弁償のため、対人・対物保険に加入することも重要です。ちなみに「JCA-財団法人日本サイクリング協会」に入会すると、年会費5000円で最大5000万円の賠償責任補償が受けられます。私も入会しており、万一の事故に備えています。

5  ともあれ、こうした点にきちんと配慮すれば、クロスバイクは手軽に始められるし、とても楽しく便利な乗り物です。一度乗ると、もう普通の自転車には戻れなくなるのではないかと思います。興味がある方は、ぜひ一度試してみることをおすゝめします。

伊藤  友紀(2013年2月8日記)


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