弁護士会ブログ

ドラマ仕立てでいきましょう


  コラムの担当者になったものの、特段変化のない生活をしているので困ってしまった。
  しかし先日、久しぶりに映画館で映画を見た。「007」である。このシリーズを見たのは初めてであったが非常に良かった。映画「トランスポーター」シリーズ、「ダイハード」シリーズが好きな私は、おでこが後退した中年男性に中毒気味である。

  さて、こういう「ハードボイルド系」映画を見ると、映画館を出た直後、男性は自分までハードボイルドの主人公になったような気分になると聞く。女性が「セックスアンドザシティ」などの所謂「オシャレ女子系」映画を見ると、モデル歩きで河原町通りを闊歩したくなるのと同じである。
  しかし、ここは河原町通りである。マンハッタンでもなければイエローキャブも走っていない。いつも通りの風景の中、いつも通りのバスに乗り、家に帰って冴えないジャージに着替え、愛する駄犬とごろごろする。それが京都市在住の私の日常である。そんな生活に不満はないものの、フェイスブックを日曜の夜に閲覧すると、多くの知人が、やれドライブだのやれ海外旅行だのと充実した週末を披露しており、自分と比較してたまに落ち込んだりもする。

  ところが先日乗ったタクシーの運転手が、京都はドラマの舞台みたいでわくわくしますねーと話しかけてきた。彼は昨年京都に旅行に来た際、あまりにも町がステキだったので、脱サラして京都に移り住んだそうだ。京都で暮らしている人がドラマの登場人物に見えてうらやましくなったと言っていた。今はただ生活していること自体が楽しいのだそうだ。
  なかなか思い切ったことをする人だと感心したが、それ以上に、自分にとって何でもないと思ってきた生活も、人によってはドラマ仕立てに見えることに感心した。
  私はタクシーを降りてコンビニでお茶を買い警察署に向かったが、こんなワンシーンも彼の目にはドラマ仕立てに見えるのだろうか。京都在住というスペック一つでドラマのヒロイン気分が味わえるとは、なんとありがたい。確かにコンビニでおにぎりを買う行為も、竹内結子がやれば立派なドラマのワンシーンである。私がやったところで絵的に美しくないが、そこを恨んでは五体満足に生んでくれた親に申し訳ないので良しとしよう。

  皆さんは、自分をドラマの主人公のように感じたことはあるだろうか。
  常々そんなことを意識しながら生きているのは自意識過剰のきらいがあるが、たまにはそんな風に思って過ごすのもいいのかもしれない。自分の生活をつまらないとぼやくよりずっといい。職場と自宅を往復するのみの毎日も大いに結構、掃除機をかけて洗濯物を片付けるだけの土曜日も、大いに結構だ。
  裏を返せば、ドラマみたいで羨ましいと思っている生活も、当人からすればたいしたことはないのかもしれない。ジェームズボンドやキャリーブラッドショーも、「○○さんはいいなー、毎日充実してて・・・。」などとぼやいているのかもしれない。

  

中村  映利子(2013年4月5日記)


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