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  小学校5年生の運動会の日、うちに犬がやって来た。親戚のうちからもらった女の子で、紀州犬だった。某CMの「お父さん」と同じ犬種だ。小さくで、真っ白で、ふわふわとした彼女は、くんくんと鼻を鳴らし、ぬいぐるみのようだった。白い彼女には、赤い首輪がよく似合った。

  しかし、彼女はぬいぐるみのようにおとなしくはなかった。元々は狩猟犬であるというその身体能力を活かし、うちで用意していた子犬用の柵を易々と跳び越えた。また、彼女は靴をおもちゃとすることを好み、自分の小屋に家族の靴を持ち帰っては履けない状態にしてしまった。とりわけ私の靴はよく被害にあった。

  大きくなった彼女は力も強くなり、散歩の際は悠然と私の前を歩いた。くるんと上を向いたしっぽとおしりがかわいらしいので、私は彼女のうしろ姿を眺めながら夕方の散歩を行った。飼い犬が先を歩くのは、連れて歩いている人物を自分より格下だと思っているからである、ということは後に知った。

  そのうち私は大学生になり、一人暮らしをするようになった。帰省すると、私は彼女に近付き、久しぶりの再会を喜んだが、彼女はさして喜ぶ風でもなく、「あら、帰ってきたの。」という表情で  私を見るだけで、あとは私になでられるままにじっとしていた。

  大学2回生の冬に彼女は亡くなったが、近年ではテレビで非常にたくさん「お父さん」を見かけるので、歩き方やしぐさなど、こんな感じだったなぁと懐かしい気持ちで見ている。実家に帰ったときにそのCMが流れると、「今の表情、似てたね。」、「似てた、似てた。」というやりとりがあったりする。また、最近は、犬のおもちゃや服など、かわいらしいものがたくさんあって、いいなぁと思う。

  彼女が自分にまとわりつく私をどう思っていたかはわからないけれど、私は彼女と過ごせてとても楽しかった。

  また犬が飼えたら、うれしい。  

本條  裕子(2013年5月30日記)


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