ラーメンはすばらしい
私はラーメンが好きである。それはもう、大学時代は1日4杯食べていたくらい、好きである。
もちろんそんなことをすると、体重と支出が大変なことになるので、最近は時々しか食べていない。
京都の商工会議所の裏にある事務所に入って、そろそろ半年が経つ。
この就職難のご時世で、事務所に入れただけで嬉しいのだが、
食べ物に対してどん欲な人かラーメン好きな人ばかりがいるところが、本当に良い。
近くの定食屋さんで、そんな先輩たちと食べる昼ご飯がすごく好きだ。
そんなある日の一コマである。
そのときは、どんなラーメンが好きか、という話題だった。
先輩の一人が、高槻にあるラーメン屋さんがすごい好きという。
「今度行こう」ととりあえず、私は携帯のメモ帳に書き込んだ。
そうしたら、その先輩があろうことか、
「そこで読書しながら、ラーメンを食べていた」と言った。
正直、私は耳を疑った。
本を読んでいたら、麺が伸びてしまう…!
その後のことは熱くなり過ぎてあまり覚えていない。
先輩たちを笑いの渦にたたきおとすことはできたと思う(たぶん)。
ラーメンは、麺がのびる。
ラーメン屋さんの店主がしっかり湯切りをしてくれているおかげで、
おいしい麺とその麺にスープがからみつく、あの絶妙なハーモニーが生まれるのだと思う。
あのハーモニーを維持するため、私は基本的に、細麺のお店では、麺を「かため」で、とお願いしている。
かためにしておけば、麺を食べ終わる頃には、麺が「ふつう」の状態で止まっていてくれるからだ。
その先輩から、事務所のホームページにラーメンブログ書いたらどうか、と勧められた。
ブログを書くためには、写真が必要である。
ラーメンを食べるとき、写真を撮るべく、店主が麺の湯切りを準備しだしたあたりから、携帯のカメラをかまえるのだが…
はやる気持ちから、カメラがぶれる。
でも、ぶれていても、撮り直しはできない。
麺がのびてしまうからだ。
写真だけのために時間を使うことは、もったいない。
そして、写真のない食べ物ブログはあまり意味がないので、残念なことだが、辞退することにした。
…そんな会話をした数週間後、
上記の先輩は育児があるので誘えなかったのだが、
うちの事務所には、ラーメン好きが本当に多いので、
ほかの先輩たちとともに、休みの日に集まって、みんなでラーメン屋をはしごした。
一乗寺から木津川まで。
集まった先輩の一人は当番弁護で、警察署に被疑者と接見してきた、そのままの状態だったが、皆でラーメンを食べた。
とてもしあわせな一日だった。
先輩の一人は、2軒めの後に行った宇治の甘味処で3軒めのラーメン屋を携帯で物色していたが、奥さんにすぐさまバレて、健康管理の必要上、3杯めはまた次回、ということになった。
そして来月また事務所の先輩たちや先輩の家族とラーメン屋に行く予定である。
どこかのラーメン屋で、なぜか時々スーツの人がまじっている、年齢不詳なグループがいたら、もしかしたら、私たちかもしれない。
こっそり美味しいおすすめの食べ方を教えてくれたら、私は、たぶんものすごく喜ぶと思う。
※ なお、先輩が読書をしながら食べていたラーメン屋さんに後日、行ってみた。
…ちぢれ太麺だった。
ほんの少しだけなら伸びても味が落ちないくらい、コシのある麺だった。
だから麺が読書に耐えられたのか、と納得した。