カメラ


カメラを構え、ファインダーを覗く。
何気ない日常の一コマであっても、絞り値を変えるだけでちょっとオシャレな日常を演出することができる。

修習中、私にはカメラという趣味が増えた。
私は元々友人も驚愕するほどの出不精で、自宅で過ごす休日をこよなく愛していた。人と接することがイヤなわけでは決してない。ただただ、「歩く」ということが非常に嫌いなだけである。

しかし、そんな私も修習中には、同期と毎週のように観光等に出掛けるようになった。1年間という限られた修習期間の中で、気の合う同期と多くの思い出をつくることは、私の出不精を凌駕するほどに楽しかった。出掛ける機会が増えると、自然とフェイスブックに写真をアップする機会も増え、友人達の充実した週末をフェイスブックで眺めることも多くなった。すると、カフェでケーキを食べたという報告、BARに行ったという報告、何気ない写真ではあるが、とてもオシャレに見える写真が多くあった。その友人達の共通点は、一眼カメラを所有しているということ。気づいてしまった以上、私も欲しい。私は、それまで愛用していたコンパクトデジタルカメラを裏切り、一眼カメラを購入した。

それ以降、私はどこに行くにもお気に入りの一眼カメラを持って出掛けた。昔は、携帯電話の重さすら気になって家に置いて出掛けることもあったほど、バッグの軽さを追求していたにもかかわらず、割と重たいカメラを持ち歩いているのであるから、自分でも不思議である。

一眼カメラで撮った写真は優に一万枚を超え、やや整理が苦手な私のパソコンには膨大な量のデータが無造作に保存されている。お花見や紅葉、寺社仏閣など京都ならではの観光スポットや、何気ない日常から海外旅行まで、写真の一枚一枚から多くの想い出が溢れている。
初めは、お出掛けのお供にすぎなかったカメラであるが、今では、写真を撮るために出掛けることも少なくない。一眼カメラとの出会いは、私に「カメラ」という趣味を与えてくれただけでなく、出不精な私を外の世界に連れて行き、多くの風景や人との出会いをもたらしてくれた。

今週末はどこへ行こう、そう考える楽しみもまた、一眼カメラがもたらしてくれたものである。

新田  葵(2014年7月7日記)


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