「『一票の格差』に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」(2014年12月25日)


  11月26日、最高裁判所は、2013年(平成25年)7月21日に施行された第23回参議院議員運営基準(選挙区選出議員選挙)において、最大4.77倍の投票価値の格差が生じたことについて、「平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙当時、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下における選挙区間の投票価値の不均衡は、平成24年法律第94号による改正後も違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった」との判決を言い渡した。

  本判決では、選挙無効の上告は棄却したものの、「参議院議員の選挙制度における投票価値の平等の要請や国政の運営における参議院の役割等に照らせば(中略)都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなどの具体的な改正案の検討と集約が着実に進められ、できるだけ速やかに、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置によって違憲の問題が生ずる上記の不平等状態が解消される必要がある」との判断を示した。

  国民主権の下、選挙権は極めて重要な国民の権利であり、民主主義の根幹をなすものである。憲法は、できる限り1対1に近い投票価値の平等を保障しているものであり、違憲状態を解消して民意を適正に反映する選挙制度を構築することは、国民全体のために優先して取り組むべき喫緊の課題である。

  最高裁判所が参議院議員選挙における投票価値の平等について、再三にわたり違憲状態にある旨の判断を示してきたにもかかわらず、国会が抜本的な対応をしないという事態が継続していることは、国会の怠慢とも言うべきものであり、国民の人権を守るべく活動する弁護士会としては、極めて遺憾である。

  このような中、本判決は、参議院議員選挙における投票価値の平等について、あらためて違憲状態にあることを強く示したものである。

  当会は、投票価値の平等の確保が有権者の意思を公平に立法府に反映させる不可欠な憲法上の要請であることに鑑み、投票価値の平等を確保すべく、国会に対し直ちに公職選挙法等関連法を改正するよう強く求めるものである。

2014年(平成26年)12月25日

京  都  弁  護  士  会

会長  松  枝  尚  哉
  

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