朝鮮・韓国人学校高等部卒業者に国立大学の入学資格を求める要望書(2003年3月26日)


2003年(平成15年)3月26日


  文部科学大臣            遠  山  敦  子  殿        
  京都大学総長            長  尾      眞  殿
  京都工芸繊維大学学長    木  村  光  佑  殿
  京都教育大学学長        林  田  隆  紀  殿

                                                        
京都弁護士会  田  畑  佑  晃



要    望    書



第1  要望の趣旨


    わが国内の朝鮮・韓国人学校高等部を卒業した生徒に対し、国立大学の入学資格を認める取扱いをされるよう、再度要望します。


第2  要望の理由


1.新聞報道によれば、文部科学省は、国立大学の受験資格が認められていない外国人学校の中で、欧米系のインターナショナルスクールの卒業生にのみ受験資格を与え、朝鮮学校・韓国学園・中華学校などのアジア系外国人学校(民族学校)には受験資格を認めない方針を明らかにしたとされています。

2.ところで本会は、2000年(平成12年)1月11日、京都府内の各国立大学に対して、わが国にある朝鮮・韓国人学校の高等部を卒業した生徒に、入学資格を認める取扱いをされるよう要望しました(別紙のとおり)。
日本弁護士連合会も、1998年(平成10年)2月20日、内閣総理大臣等に対して、下記勧告書(要旨)を提出しております。


  日本国に在住する外国人が自国語ないし自己の国および民族の文化を保持する教育をする学校と大学校及びその卒業者について、日本国の学校教育法第1条の各義務教育課程、高等学校教育、大学に相当する教育を授受しているものにその資格を認めず、法律に根拠を持つ公的な資格を認定する試験を受験させないことは重大な人権侵害であり、かかる事態を速やかに解消させるべきである。
    そのための処置として、日本国に在住する外国人の学校について定める法律が制定されるまで、とりあえず、朝鮮各級学校と大学校及びアメリカ合衆国カリフォルニア州に本部を持つ西部地域学校大学協会(WASC)など国際的に一定の水準を維持している機関の認定している学校については、その教育内容に応じてこれに対応する学校教育法第1条の各学校と同等の資格を認める処置をとるべきである。

3.世界人権宣言・国際人権規約・権利条約は、すべての子どもが等しく教育を受ける権利、初等教育については無償で受ける権利、独自の民族教育を受ける権利等を保障しているにもかかわらず、国は,朝鮮・韓国人学校を学校教育法第一条に定める「学校」として認めず、何らの助成をしないばかりか、高等部を卒業した生徒に、高校卒業資格や国立大学の入学資格を認めない等の措置を取り続け、その結果、朝鮮・韓国人学校に通う生徒や保護者は甚大な不利益をうけています。
今般、文部科学省が、欧米系のインターナショナルスクール出身者だけに国立大学受験機会の拡大を認めながら、アジア系外国人学校出身者を排除することには合理的な根拠を欠くとともに、教育の国際化にも逆行するものであると言わざるをえません。
本会は、改めて、わが国にある朝鮮・韓国人学校の高等部を卒業した生徒に、国立大学の入学資格を認めるよう取り扱われるよう要望します。
以  上


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