「安保法制の参議院での採決に強く抗議する会長声明」(2015年9月19日)


  安全保障関連法制は、本年9月17日に参議院特別委員会で強行採決され、本日未明には参議院本会議にて可決・成立した。
  しかし、同法制は、憲法9条の解釈としてこれまで許されないとされてきた集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊の活動が他国の武力行使と協働・一体化される道を開くものであり、国際紛争の解決の手段として武力行使を許さないとしている憲法9条に明らかに違反するものである。また、憲法解釈の解釈によって憲法9条2項改正と同様の結果をもたらす点は、憲法改正手続を定めた憲法96条1項を潜脱し、立憲主義を否定するものである。
  当会は、このような観点から同法制に反対する会長声明を本年5月1日に発し、衆議院での強行採決に抗議する会長声明を本年7月16日に発してきた。日本弁護士連合会をはじめ全国の弁護士会も同法制に反対の意思表明を行ってきた。圧倒的多数の憲法学者や歴代の内閣法制局長官、元最高裁長官まで同法制を違憲と断じており、安保法制が違憲であることはもはや決着済みといえる。
  各種の世論調査でも国民の過半数が同法制に反対しており、審議すればするほど反対意見が増える状況であった。本年8月29日に当会が主催した同法制の廃案を求める円山集会・パレードには、4500人もの市民が参加した。この間、国会前をはじめ各地で広範な市民が参加して、連日、大規模なデモや集会が行われてきたことは、安保法制反対が国民多数の立場であることを示すものである。
  参議院での採決は、こうした国民世論を無視するものであるとともに、平和主義、立憲主義を根本から破壊するものであって到底許されるものでない。
  またそもそも、参議院本会議での採決に先立つ特別委員会での「議決」については、その手続に問題がある。速記録でも、「発言する者多く、議場騒然、聴取不能」と記録されているほどであり、同法制の成立の過程には重大な瑕疵があると言わざるを得ない。
  当会は、このような暴挙に対し満腔の怒りを込めて抗議するとともに、引き続き、広範な市民と共同し同法の廃止を求めて全力を尽くすことを決意する。


      2015年(平成27年)9月19日

京  都  弁  護  士  会

会長  白  浜  徹  朗


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