ハイキング


こち弁ブログをご覧の皆さま、こんにちは。
京都弁護士会所属の弁護士真田千雅子です。

突然ですが、私の趣味はハイキングです。休日になると、関西圏にある様々なハイキングコースに出掛けております。
本日は、先日初めて行った「大台ヶ原」での経験をご紹介いたします。

「大台ヶ原」(東大台コース)は、奈良県と三重県の県境近くにある初心者向けのハイキングコースです(所在地:奈良県吉野郡上北山村)。京都からの交通手段としては、京都駅から大和上市駅まで近鉄電車(所要時間約1時間40分)、上市駅から大台ヶ原駅までバス(所要時間約1時間50分)となります。すなわち、片道の所要時間は合計約4時間、往復で約8時間となり、場合によっては海外旅行よりも長時間の移動時間となってしまう場所にあります。
なお、大台ヶ原までのお得なきっぷがあるので(発売期間は平成27年11月23日まで)、興味をお持ちの方はぜひご利用ください。

当日、京都駅を午前7時10分に出発し、大台ヶ原駅に到着したのは午前11時ころ。長時間バスに揺られていたため、この時点ですでに疲労困ぱいです。ハイキング(登山)ブームからか、この日大台ヶ原にある広大な駐車場はすでに満車状態でした。

標高1600メートルということで、さすがに空気がおいしく、深呼吸をすると体中が浄化されるような錯覚を覚えました。
とはいえ、のんびりしている時間もないため、早速、ハイキング開始。
というのも、大台ヶ原から麓までの最終バスの出発時刻は午後3時30分であり、ハイキングコースの所要時間は約4時間。ということは、さくさく歩かないと最終バスに乗り遅れることになるのです(なお、最終バスを乗り過ごせば、最悪の場合、夜中まで歩いて下山しなければなりません。)。
そうはいうものの、当該コースは初心者向けであり道に迷うことはないと信じ、軽い足取りで歩き始めました。
大台ヶ原には、数々の見どころがあるのですが、その中でも正木ヶ原という場所が有名で(立ち枯れた樹木と青空とのコントラストが美しい場所です。)、私は枯れ木の写真を撮りつつ先を進みました。
順調に進んでいる、と思っていたのですが、ふと気がつくと先ほどハイキングを開始したはずの出発地点に戻ってしまいました。どうやら道を間違って逆戻りしてしまったようです。
まずい、このままでは最終地点に辿り着く時間がない、ということで猛ダッシュで来た道を戻り(体感速度は時速約30キロメートル)、なんとか正しい道まで戻ることができました。この時、午後1時40分。

大台ヶ原の他の見どころは、大蛇嵓(約800メートルの断崖絶壁の上にあり、大蛇の上に乗ったようなスリルを味わえるそうです。)とシオカラ谷つり橋(渓谷美で有名。)です。ハイキングコースの後半地点に位置するので、ぜひゆっくり眺めたいと予定していたのですが、大蛇嵓に辿り着いたときにはすでに午後2時40分。しかも、大蛇嵓には登山客の大行列ができていました。
こんなに人気のあるコースだったのかと驚くとともに、この行列を待っていては最終バスに乗り遅れてしまうという危機感から、泣く泣く大蛇嵓を諦め、先に進むこととしました。大蛇嵓の後は、高低差約200メートルの急な下り坂や険しい上り階段が続くため(通常の所要時間は1時間30分。)、このままでは最終バスに間違いなく間に合わないということに気づきました。
ということで、急な階段・山道をまるで忍者のごとく駆け上り、所要時間1時間30分のところ、約45分で歩き切りました。途中、見どころの1つであるシオカラ谷つり橋があり、多くの登山客がつり橋で優雅に記念撮影をしたり、楽しく談笑をしていたところ、私は必至の形相で渡り切り(所要時間3秒)、楽しみにしていたつり橋からの景色を眺める余裕は1秒たりともありませんでした。

急な階段を上り切ったところに、最終地点まであと100メートルと記載した木の看板がありました。この時、時間は午後3時29分。
走る体力は尽き果てていました。
もうだめだ、間に合わない、と諦めかけたとき、ある動画で松岡修造氏が「諦めるな」と叫んでいたのを思い出しました(この動画は、私が受験生時代に何度となく励まされたものです。)。
そうだ、諦めたらこれまで頑張って疾風のごとく駆け上がったことが無駄になってしまうと思い直し、ふらふらになった足を奮い立たせ、最終バスまで疾走しました。

汗だくになりながら、ふと前を見ると最終バスの姿を発見。奇跡的に間に合うことができたのでした。

大台ヶ原は初心者向けコース、大蛇嵓やシオカラ谷つり橋等の見どころを見ながら楽しくハイキング、そんな予定は夢のまた夢でした。往復約8時間もかけて来たのに、記憶に残ったのは、美しい景色でもなく森林浴でもなく、汗と涙でした。

以上


真田  千雅子(2015年11月9日記)




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