消費者保護委員会

消費者保護委員会は、消費者問題を取り扱う委員会で、毎年60名近くのメンバーが参加しています。 ただし、多重債務問題や実際の消費者被害事案に対応する弁護団の結成などは、「消費者・サラ金被害救済センター運営委員会」という委員会が別に組織されているため、当委員会では、8つの部会ごとに、新たな被害事例や裁判例の集積分析、立法提言に向けた研究、消費者保護のため活動している地方公共団体等各種団体との協働などを行なっています。8つの部会の活動を、簡単に紹介します(なお、2020年6月時点の活動内容です。)。

1 消費者契約法部会

消費者契約法とそれに関連する事項を扱っています。消費者契約法は、平成28年、平成30年に相次いで重要改正がされましたが、今後も改正が予定されています。消費者契約法をより良くするため、どのように改正すべきか提言していきます。消費者団体が個々の消費者に代わって事業者の違反行為の差止を求めたり、被害回復を担う消費者団体訴訟制度についても研究したりしています。他の弁護士会と共同する等して海外調査を行うことが恒例になっています(これまで、ブラジル、フランス、ギリシャ、アメリカ等)。

2 信用部会

訪問販売などを規制する特定商取引法と、クレジットカード取引を規制する割賦販売法を中心に、近時では電子マネー決済などの新しい類型の決済についても研究を進めている部会です。

3 金融サービス部会

金融商品取引法等の対象となる金融商品によって発生する問題を中心に、金融商品の内容、実際の販売状況、 それに対する規制の状況や実際の運用の検討などを行っています。今話題の生命保険についての問題も取り扱っています。

4 PL・欠陥住宅部会

その名のとおり、PL(製造物責任)と欠陥住宅に関する問題を扱う部会です。部会のメンバーを中心に弁護団に参加もしていて、 近時では茶のしずく石けんの事件やカネボウ白斑事件という全国規模の事件が解決に至っています。

5 不招請勧誘禁止部会

「望まない訪問勧誘・電話勧誘(不招請勧誘)を禁止する法制度を作ろう!」がテーマです。皆さん、Do-not-call、Do-not-knockという法制度を知っていますか?知らないと思います。 諸外国では、訪問販売お断りステッカーを貼付する家への勧誘を禁止したり、電話勧誘を望まない消費者を登録・管理し、登録者への勧誘を禁止したりする法制度があります。 日本にこの制度を作り、歴史に名を残すべく、日々、活動しています。

6 消費者行政部会

京都では、弁護士会と行政とが、非常に先進的な形で連携しています。消費者行政部会は、このような行政との連携について取り組む部会です。 消費生活センターの相談員さんに法的アドバイスをする「助言担当弁護士」制度等がそうした連携の例ですが、部会の活動を通じて、消費者被害救済の現場を知りつつ、 大きな制度作りにも関わることができます。

7 情報通信部会

今日の消費者被害とインターネット等の情報通信は、切っても切り離せません。情報通信技術には、①内容が複雑で理解困難であること、 ②遠隔地・不特定多数への勧誘が容易であること、③匿名性が保たれること、という特徴があり、いずれも、消費者被害の発生、拡大、救済困難という事態をもたらします。 2020年の研究テーマは「デジタル・プラットフォーム」です。

8 消費者教育部会

被害防止制度だけでなく、消費者教育にも力を注ぐ必要があります。2020年度より立ち上がった当部会では、京都府や京都市と連携をしながら、 学校等で行われる授業案の作成、授業の実施、学校の先生方への研修等を通じ、「弱い者の気持ちにも配慮できる、真の意味での強い消費者になる」消費者教育の実現を目標としています。